第四学年 国語科学習指導案
一、題材 ごんぎつね(人物のきもちの動きを) 光村図書
二、目標
(一)・兵十の捕まえたうなぎをとってきてしまう場面や、兵十の母の死を知って、自分のいたずらを反省する場
面、兵十の家に栗やまつたけを持っていく場面から、いたずらから後悔、そして償いへと変化するごんの
心情を読み取ることができる。
・ごんにうなぎを盗まれてしまう場面や、栗やまつたけをくれるのは神様だと誤解する場面、家の中に入っ
てきたきつねを銃で撃ってしまう場面から、憎しみから理解へと変化する兵十の心情を読み取ることがで
きる。
(二) うなぎの償いと、自分と同じ一人になった兵十への共感から、たとえ理解されなくとも、懸命にいわしや
栗やまつたけを兵十の家へ持っていく、ごんの繊細で健気な心を読み取ることができる。
(三) 相手の話を正確に聞きながら話し合うことによって、自分の考えを深めることができる。
(四)「ごんぎつね」を声に出してスラスラ読むことができる。
(五)「松」「差す」「固める」などの漢字を、読み、書くことができる。
三、指導上の考察
(一)題材について
(1)この作品のあらすじは以下のとおりである。
いたずらばかりしていたごんが、兵十の母の死を自分のいたずらのせいだと反省し、懸命に償いをする。
しかし、その行いはなかなか相手に伝わらず、最後は兵十に火縄銃で撃たれてしまう。
私は、この作品の主題を、「兵十の母の死を自分の問題としてとらえ、たとえ相手に理解されなくても、懸
命に償いをするごんの繊細で健気な心」と読んだ。
(2)この作品は、大きく六つの場面に分けられる。
一場面 いたずらで兵十のうなぎをとってしまったごん。
この場面は、大きく二つに分かれる。
一つ目は、物語の設定であり、時代とその背景、ごんの人物像が紹介されている。
まず、「これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です。」という叙述か
ら、この作品の語り手がわたしであることが分かる。
また、「昔は、わたしたちの村の近くの中山という所に、小さなおしろがあって、中山様というおとの様が
おられたそうです。」から、この話が昔の出来事であること、時代で言えば、江戸時代以前のことであると推
察できる。
次に、ごんの人物像について述べる。ごんは、「その中山から少しはなれた山の中」に住んでいて、「ひと
りぼっちの小ぎつね」であることから、年齢は大人に近い、寂しいきつねであると推察できる。寂しさとの
因果関係は定かではないが、ごんは「夜でも昼でも、辺りの村へ出てきて、いたずらばかり」する。ごんに
とっては、単に遊び心のいたずらかもしれないが、村人にとっては、「いもをほり散ら」されたり、「菜種が
ら」に火をつけられたり、「とんがらしをむしり取」られたりすることは、死活問題である。
二つ目は、「ある秋」の日の出来事である。「二、三日雨がふり続いた」後、散歩に出かけたごんは、村の
小川のつつみで、魚を捕っている兵十を目撃する。「兵十だな。」という文から、ごんは前から兵十のことを
知っていたことが分かる。ごんは、兵十が目を離した隙に、びくの中のうなぎを川へ逃がそうとする。ごん
は、うなぎを盗むつもりはなかったが、結果的に兵十の捕まえたうなぎをとってきてしまう。一方、兵十に
してみれば、ごんがうなぎを盗んだものと確信し、ごんに一層の憎しみを抱くことになる。「うわあ、ぬすっ
とぎつねめ。」という表現からも、兵十のごんに対する強い憎悪が読み取れる。この出来事は、物語の最後に
悲劇を招く発端となるのである。
二場面 兵十の母の葬式を見て、いたずらを後悔するごん。
うなぎの事件から十日ほど経ったある日、ごんは村の様子がいつもと違うことに気が付く。その様子から、
ごんは、兵十の母が死んだとわかる。その日の晩、ごんは、穴の中で考える。
「兵十のおっかあは、とこについていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。(中略)だから、兵十
は、おっかあにうなぎをたべさせることができなかった。そのまま、おっかあは、死んじゃったにちがい
ない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいと思いながら死んだんだろう。ちょっ、あんないたず
らをしなけりゃよかった。」
ごんのこの言葉は、事実ではなく、ごんの一方的な推測である。しかし、兵十の母の死を自分の問題とし
て受け止め、猛烈な反省をするところに、いたずらばかりしていた悪い面とは別のごんの優しい心根が読み
取れる。今後のごんの行動をみると、兵十の母の死はごんにとって、きっと今まで経験したことのない大き
な衝撃であったに違いない。この日を境に、ごんの心情は大きく転換する。そして、ごんは、兵十への償い
という、命懸けの行動に移っていくのである。
三場面 うなぎの償いに、いわしを兵十の家へ投げ込んだごん。
ごんは、赤いいどの所で麦をといでいる兵十を見て、「おれと同じ、ひとりぼっちの兵十か。」と思う。自
分と同じ、一人になった兵十の境遇に、ごんは強く共感する。このことが、ごんの兵十に対する償いの気持
ちをより一層強くする。
ごんはうなぎの償いとして、まず、盗んだいわしを兵十の家に投げ込む。次の日には、山で拾った栗を兵
十の家に持っていく。しかし、そこで、ごんは、兵十が盗人と間違われていわし屋に殴られたことを知る。
ごんの善意の行動が裏目に出たことで、ごんと兵十の心情はさらに大きくすれちがってしまう。にもかかわ
らず、ごんは、自分のせいで兵十に怪我をさせたことを強く後悔し、さらに償いの行動を重ねるのである。「次
の日も、その次の日も、ごんは、くりを拾っては兵十のうちへ持ってきてやり」「その次の日には、くりばか
りでなく、松茸も二、三本持ってい」くのである。ごんの償いは、六場面で、兵十の家に栗を持っていった
のが最後で、計六回である。その行為をみると、初めは「うちの中へいわしを投げ込んで」いたのが、六回
めには栗を固めて置くようになっている。兵十に対する償いの気持ちがますます強まっていると読み取れる。
四場面 兵十と加助の話を盗み聞きするごん。
ごんが、お念仏に行く兵十と加助の後をつけていく場面である。兵十は加助に、「おっかあが死んでからは、
だれだか知らんが、おれにくりや松たけなんかを、毎日毎日くれるんだよ。」と、最近の不思議な出来事を語
りだす。ごんは、栗や松たけを持っていっているのは自分だということに、気づいて欲しかったのだろう。「加
助が、ひょいと後ろを見ました。ごんはびくっとして、小さくなって立ち止まりました。」とあるように、ご
んは、自分の存在を知られたらまずいとは分かっていながらも、知らず知らずのうちに二人に近づいている。
また、ごんは二人が吉兵衛の家に入ってからも、井戸のそばにしゃがんで、二人が出てくるのを待っている。
五場面 償いを神様の仕業と誤解され、つまらないと思うごん。
ごんが、お念仏から帰る兵十と加助の後をつけていく場面である。「ごんは、二人の話を聞こうと思って、
ついていきました。兵十のかげぼうしをふみふみ行きました。」という叙述から、ごんは、話の続きが聞きた
くて、二人にかなり近寄っていることが分かる。お念仏の行きよりも二人に近づいていることは明らかであ
ろう。ところが、兵十と加助の会話は、ごんにとって思いも寄らぬ方向へ進んでいく。兵十に栗や松たけを
恵んでくれるのは、神様の仕業だというのである。ごんは、「へえ、こいつはつまらないな。」「おれがくりや
松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼を言わないで、神様にお礼を言うんじゃあ、おれは引き
合わないなあ。」と思う。
しかし、ごんは、明くる日も、兵十の家へ栗を持っていくのである。ごんは、兵十にも、兵十の母にも、
心からすまないと思っていたのだろう。自分はなぜ栗を持っていくのか。あくまでも、兵十への償いは自分
の気持ちの問題であり、だれがなんと言おうと関係ないと考えていたと推察できる。
六場面 兵十に火縄銃で撃たれてしまうごん。
この場面の中心は、兵十の心情の変化である。五場面までの話者の視点はごんにあった。それは、五場面
までは、ごんの心情の変化が中心に書かれていたからである。しかし、この場面では、話者の視点が兵十に
転換する。なぜなら、この場面では、兵十の心情が大きく変化するからである。つまり、ごんに対する憎し
みから理解への変化である。
場面の前半では、「と、きつねがうちの中へ入ったではありませんか。こないだ、うなぎをぬすみやがった
あのごんぎつねめが、またいたずらをしに来たな。」とあるように、兵十にとっては、ごんはあくまでも動物
のきつねであり、相変わらず自分を困らせる憎らしい存在でしかない。そのことは、ごんを火縄銃で撃った
後の兵十の視点の移動にも表れている。兵十はまず、「(家の中が荒らされていないか)うちの中を見る」の
である。ところが、その後、兵十は「土間にくりが固めて置いてあるのが、目につき」、「びっくりして、ご
んに目を落と」す。兵十は、ここで初めて、いつも栗をくれたのがごんであることに気づくのである。
物語の一番最後、しかもごんが銃で撃たれた後に、ようやく二人の心が近づくところに、この作品の悲し
さがあらわれている。
(二)児童について
第一時。教師の範読後、児童の感想は次のようであった。
〈一場面に関して〉
・どうして、ごんぎつねという名前がついたんだろう。
・ごんはひとり暮らしでかわいそう。
・ごんはいたずらが大好きだと思う。
・なんてずるがしこいんだろうと思った。
・どうして、ごんはいたずらをするんだろう。
・食べ物なら山に行けばとれるのに、どうして、毎日畑や辺りの村に入っていたずらばかりしたんだろう。
・兵十のおっかあがうなぎが欲しいと言ったのなら、どうして、兵十はごんを最後まで追いかけなかったんだろう。
・昔とは何年ぐらい前か。
〈二場面に関して〉
・お母さんが死んで、お母さんと兵十はかわいそう。
・ごんは、うなぎをとったことを後悔した。
・兵十のおっかあが死んだのは、他に理由があると思う。
・なんで、ごんは、兵十のおっかあがうなぎを食べたいと言ったにちがいない、と思ったんだろう。
〈三場面に関して〉
・兵十は一人暮らしになったけど、ごんも一人暮らしでかわいそうと思った。
・どうして、ごんはいたずらばかりしていたのに、今度はいい事をしたんだろう。
・栗や松たけを持っていって、優しくて、いいところもある。
・いわしを盗んだけど、いいことをしたと思ったんだから、ごんはいい面もあると思う。
〈六場面に関して〉
・ごんを殺したとき、ずっと前の悪い印象が残っていたと思う。
・いたずらをしなければ、こんなことにはならなかったのにと思う。
・最後にごんにお礼を言わなかったのだろうか。
・ごんは、いたずらをしただけなのに、どうして、最後に殺されないといけなかったんだろう。
・いい事をしたのに、最後に殺されてかわいそう。
〈物語全体について〉
・とても悲しい話だった。
・初め、ごんはいたずらばかりして悪いきつねだと思ったけど、後から本当は優しいんだと思った。
(三)指導について
(1)まず、題材文をスラスラ読めるようにしたい。一文ずつ教師に続いて追い読み・二人組で一文ごとに交代
読み・席順に一文ずつリレー読みなど、変化を持たせながら繰り返し練習をすることによって、読めない漢
字、読みにくい言葉を抵抗なく読めるようにする。題材文を最低十回は読ませたい。
(2)話の展開の大よそをつかませるために次のような指導を行う。登場人物・場所・時代といった物語の設定
をつかませる。場面ごとにキーワードを抜き出し要約をさせる。
(3)一場面では、「ごんは悪いきつねか?」を課題とし、ごんの人物像を村人の立場、ごんの立場の両面からと
らえさせたい。ごんの行為は、村人の立場からすれば死活問題であるし、ごんの立場からすれば単なるいた
ずらとも受け取れる。さまざまな考えを発表し、討論させることによって、ごんに対する見方を深めること
ができるようにしたい。
二場面では、「ごんがあなの中で考えたことをどう思うか。」を課題とし、自分のいたずらを後悔するごん
の心情に迫らせたい。また、ごんが穴の中で考えたことは、そのほとんどがごんの思い込みであることに気
づかせる。「〜と言ったにちがいない。」「〜死んじゃったにちがいない。」という表現から、兵十に対して心
からすまないと思うごんの心情を理解させたい。
三場面では、「ごんはつぐないを何回したか。また、どのようなつぐないをしたか?」を課題とする。初め
はいわしを投げこんでいたのが、最後は栗を固めて置いたあるということに気づかせ、償いを重ねるにつれ
て、ごんの兵十への償いの気持ちが強くなっていることを理解させたい。
また、「おれと同じ、ひとりぼっちの兵十か。」というところで、どんなところがごんと同じなのかを検討
することにより、ごんの兵十に寄せる思いを理解させたい。
四・五場面では、「ごんは、お念仏の行きと帰りでは、どちらが兵十と加助に近づいているか?」を課題と
する。栗や松たけを持っていくのは自分の問題だと受け止めながらも、一方では、自分の行為を相手に知っ
て欲しいと願うごんの心情を理解させたい。
六場面では、「兵十の考えが今までと変わったのはどこか。」を課題とする。憎しみから理解へと変化する
兵十の心情を理解させたい。
四、指導計画(全十五時間)
(一)教師の範読を聞き、初めの感想を書く。─────────────────────────
一時間
(二)全文を繰り返して音読し、難しい言葉の意味を調べ、物語の設定を確かめる。───────── 三時間
(三)六つの場面をそれぞれ要約する ──────────────────────────── 二時間
(四)内容を詳しく読んで話し合う。───────────────────────────── 六時間
・ごんはどんなきつねかについて(二) (本時第八時)
・自分のいたずらを後悔するごんについて(一)
・ごんの兵十に対する償いについて(一)
・兵十と加助の後をつけるごんについて(一)
・ごんの償いに初めて気がつく兵十について(一)
(五)主題を検討する。──────────────────────────────────
一時間
(六)まとめの作文を書く。───────────────────────────────── 二時間
五、本時の指導
(一)目標
・ごんは悪いきつねかどうかを話し合うことによって、ごんの人物像を、村人の立場とごん自身の立場の両面
からとらえることができる。
・一場面の文章を手がかりに自分の考えを述べるとともに、相手の考えを正確に聞き取りながら、話し合うこ
とができる。
(二)指導過程(四十五分)
| 学 習 活 動 | 指 導 上 の 留 意 点 |
| 一、一場面を音読する。 (三分) 二、本時の学習について確かめる。 (二分) 三、ごんは悪いきつねかどうか、話 し合う。 (三十五分) 四、本時の学習のまとめをする。 (五分) |
・一場面のごんをどう思うか、考えながら読むよう、指示する。 ・姿勢の良い子、声がよく出ている子を褒める。 ・前時にノートに書いたことをもとに、ごんは悪いきつねか、そうでは ないかについて話し合うことを告げる。 ・ごんは悪いきつねか、そうではないかについて、少数派の考えから発 表させる。 ・結論→理由の順に考えを述べさせる。その際、聞いている児童には反 対意見などがあればノートにメモをとるよう指示する。 ・児童が根拠として着目する表現は次のようなところと予想される。児 童が着目していないものについては、話し合いの中で、発問などによっ て引き出したい。 (1)「ごんは悪いきつねだ」と考える根拠。 ・「そして、夜でも昼でも、〜ばかりしました。畑へ入っていもをほ り散らしたり、〜いろんなことをしました。」(P四十六、十行目) ・「ごんは、見つからないように、〜」(P四十九、四行目) ・「兵十がいなくなると、〜」(P五十、十二行目) ・「〜所より下手の川の中を目がけて、〜」(P五十三、一行目) ・「〜、一生けんめいににげていきました。」(P五十二、三行目) (2)「ごんは悪いきつねではない」と考える根拠。 ・「その中山から少しはなれた〜」(P四十六、八行目) ・「ごんは、ひとりぼっち〜住んでいました。」(P四十六、九行目) ・「ごんは、外へも出られなくて、〜」(P四十七、十行目) ・「〜、いたずらがしたくなったのです。」(P五十、十三行目) ・「うなぎは、〜まき付きました。」(P五十三、十行目) ・「うなぎをふりすててにげよう〜」(P五十二、一行目) ・児童の考え、または論点が明確になるよう板書を工夫する。 ・話し合いが途切れたときなどは、次の発問をすることで論点を与え、 児童の考えを引き出す。 ・ごんは悪いきつねであることを引き出す発問。 「ごんのしたいたずらで村の人が笑ってすませるいたずらはどれで すか。」 ・ごんは悪いきつねではないことを引き出す発問。 「ごんは兵十にいたずらをしにやってきたのですか。」 「ごんはうなぎを盗んだのですか。」 ・話し合いの後で、再度、ごんは悪いきつねか、そうでないかを問う。 考えの変わった児童を褒める。 ・話し合いで出された子ども達の意見を取り上げ、「ごんの立場になれば、 一人ぼっちの寂しさからいたずらをする気持ちもわかる」けれど、兵十 や村人からみれば、「ごんはいたずらばかりする悪いきつねにしか思えな い。」ということを押さえる。 |